この映画は人間ドラマであり、政治や歴史を扱ったものではありませんが、だからこそ「あの国」がどういう国なのかがよく分かります。
中華人民共和国には文化大革命という人類史上でも最も愚かな国家的ムーブメントがありました。「日常生活の必需品の生産こそが文化であって、それ以外のものは不要。芸術、宗教、民間医療などというものは迷信で反革命的であるからすべて破壊せよ」という知性のカケラもない運動です。
毛ナントカという「指導者」を信じた少年、少女、青年が中心になったこの運動はあの国の文化、歴史、国民性を徹底的に歪めました。
そのことがよくわかる映画です。
もちろん、映画としての出来もピカイチで、長く心に残る傑作です。このような映画は二度と中国資本で作られることは無いでしょう。あの国は後退しています。
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コメント
私は昔の中国の歴史や文化に興味を持ち,「覇王別姫」は歴史が変わるシーンの一部です。
テレビ放映されたとき,タイトルで時代劇かと思っていましたが,そうではなかったので,部分的にしか見てなかったのです。今思えば不覚でした。
今度,ちゃんと見てみようと思います。
私は,返還直後の沖縄,返還直前の香港に行ったことがあります。
若い人が普通に英語を話し,ファミレスに来た親子連れの子どもが,テーブルの上に乗せたパソコンをたたいていたことに驚きました。
そのような土地柄の,香港という限定された地域で,京劇の舞台を志す人は二千人以上と聞いていました。
進歩した民主主義や教育と,伝統や文化が共存した姿は,将来も世界の都市のお手本になると思っていました。
返還直後の沖縄が,返還後の混乱や基地問題を抱えながら,しだいに平穏を取り戻したように,香港にも楽観的な将来があると思っていました。
しかし,現実は過酷なものでした。
私は,仕事で台湾にも行きました。すべての人にあてはまるかはわかりませんが,私が会った人たちは,中華民国に至る歴史に誇りを持ち,日本との関わり合い大事にしてくれました。
いつかもう一度,香港が昔の輝きを取り戻す日が来ることを願っています。